Q)では、アルコールによる精神病は存在しないのですか?
A)いいえ。アルコール依存症とは別に、様々な精神病(中毒性精神病)をアルコールは引き起こすことがあります。
Q)酔っぱらうと人が変わったように、荒れる人がいますが...
A)酔っぱらうとイライラが激しくなったり、すぐにかっとくる、疑い深くなるなどしらふの性格と全く代わってしまう人がいます。これを複雑酩酊といいます。いわゆる酒乱です。しかし、これは必ずしもアルコール依存症特有の状態ではありません。
Q)忘年会などで大量にお酒を飲むと、翌日覚えていないことが出てくるのですが...
A)これをブラック・アウトといいます。酔っぱらっているときの行動や会話の内容を忘れてしまいます。どうやって自宅まで帰ってきたのか、など思い出せぬ事がでてきます。これも、アルコール依存症特有の症状ではなく、大量飲酒したときに起こってきますが、やはりアルコール依存症者にはしばしば生じます。
Q)禁断症状で虫などの幻覚が見えることがあると聞きましたが...
A)一部のアルコール依存症者が急にお酒を止めると、眠れない夜が幾晩か続いた後に、振戦せん妄が出現することがあります。
手や全身のふるえ(振戦)、大量に汗をかく、発熱などの身体症状と共に、幻覚と不安、イライラ、興奮が見られるようになります。壁や天井、床などに虫、カエル、ネズミなどの小動物が動くのが見えます。壁のシミが虫に見えることもしばしばあります。虫が身体の上をはうなどといって、一生懸命見えない虫を摘んで捨てようとする患者さんもおられます。
作業せん妄といって、平素の仕事をしている動作や言動をすることもあります。
これらの正体は、意識レベルの低下によるもので、寝ぼけた状態と同じと考えてください。でも、これらの症状が出ている場合には全身の衰弱が激しいことが多く、十分な治療・看護が必要となってきます。衰弱が激しいまま放置すると、死に至ることもあります。数日でこれらの症状は消え、頭がはっきりとしてきます。
Q)誰もいないのに、自分のことを言っている声が聞こえることがありますが...
A)名前を呼ぶ声、ささやき合う声、大勢がののしりあう声、自分を殺そうと相談する声や、足音が聞こえることがあります。これらは、アルコール性幻覚症による幻聴です。先に述べた振戦せん妄と異なり、意識ははっきりしています。第三者同士が自分のことについて話す形を取りやすいことが特徴です。
断酒と薬物治療で症状は消失します。まれに、数カ月続くこともあります。
Q)主人が酔っぱらって、私が浮気をしていると怒るのですが...
A)アルコール依存症者の一部に、奥さんへの嫉妬妄想が見られることがあります。大量飲酒をすると男性機能が障害されることがしばしば見られます。このため、アルコール依存症者は男性としての自信を消失していることがあります。また、性格の変化や疑り深くなることもその一因です。
性欲がなくなる
↓
夫婦生活が遠のく
↓
妻が欲求不満になる(なるはずだ)
↓
浮気をするかもしれない
↓
いや、浮気をしているに違いない
というように、男性としての自信消失から嫉妬妄想に発展し、不倫の証拠をつかもうと、奥さんの後を尾行する、衣服を調べる、ひいては暴力を振るうなどの問題行動にいたります。
次にアルコールによって生じる身体の病気について考えてみましょう。