| 平成八年(一九九六年)六月一六日 高知県生態系保護協会・編 高知新聞社・発行 「この指とまれ」より |
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| 六六年前に作曲したメダカの歌 | ||
| 下司孝麿 | ||
| ―メダカの飼育と実験方法LD50について― 今から七〇数年前、私が小学校低学年の時のことである。私は、上町三丁目電停を北に入って突き当たる西町の北側、後町に住んでいた。家の裏の小川は私の水泳場であり、ウナギの子ハリウ(シラスが成長して黒くなったもの)がたくさん泳いでいた。 夏になると、一人でトンボやフナを捕りに出かけたものである。行先は、新屋敷の北側で、万々にかけて一面の水田が広がっていた。私は祖父に作ってもらったトンボ網でトンボの王者ヤマ(ヤンマのこと)を追っかけたり、すばしこくてなかなか捕まえられないフナを三角形のブッタイで掬ったりしていた。メダカは捕まえる対象ではなかったが、群れをして泳ぐ習性は愛らしく深く印象に残っていた。 さて、一九三〇年(昭和五年)旧制県立城北中学校四年生の時、私は旧制高等学校の受験勉強に明け暮れていた。勉強の合間に思い出すのは、子供の頃に遊んだ田園風景であった。そして出合ったのが、メダカの歌である。 家にあったオルガンで、シューベルトのセレナーデや魔笛などを弾いてリラックスしているうちにふっと、このメダカの歌に曲をつけようと思った。そこで生まれたのが「目高之御家」。十六歳の処女作、六六年前のことである。 高等学校に入学してから楽譜を整理して、Komponiert von T. Geshi(下司作曲の意)とドイツ語で記した一冊の楽譜帳に仕上げた。その中の歌詞付き楽譜「目高之御家」を、そのままコピーしてここに発表する次第だ。 平成七年高知県生態系保護協会が、メダカの歌の作曲を募集しているのを高知新聞紙上で見て、私の幼稚な作曲をご愛嬌までに送った。ところが、高知新聞社の記者の目にとまって取材され、「やいろ鳥」というコラムで紹介されたのは光栄であった。 このメダカの歌の作詞者は不明である。私の作曲した約四〇曲の歌の作詞者はほとんど分かっている。ところが、曲目目次には、この歌の題は「目高のお家」となっている。譜面には「目高之御家」と書いてあるので、私が作詞したのかもしれないが、昔のことで定かではない。 最近、メダカが実験用動物として、宇宙飛行時のみならず一般にも用いられ、脚光を浴びてきた。また、学校での自然観察教材としても注目され、メダカの飼育は重要なテーマとなっている。 ところで、医者の中にもメダカの愛好家がいて、メダカの飼育に熱心だ。安藤一夫先生は東京都の医師で、医学雑誌に「めだかを育てて考えた」の一文を寄稿して、その薀蓄を語っている。興味のある方は、日本医事新報 No.3694(平成七年二月一日発行)をご覧頂きたい。安藤先生の挙げた参考文献を紹介しておこう。 一.江上信雄著:「めだかに学ぶ生物学」中公新書931、1989。 二.酒泉 満著:「生物地図が語る古代(日本丹後・但馬を舞台にメダカの南北 戦争)」科学朝日、一九八九年五月、朝日新聞社。 高知大学名誉教授今井嘉彦先生が、平成六年五月二日の高知新聞「水に生きる」の連続エッセイの中で、動物の毒性評価について述べている。精度の上で、優れた致死量測定LD50(五〇%致死量)が、二〇年前から採用されていると紹介された。メダカに対する薬物の致死量を測定する時に、この方法は役立つと思う。現在、医師の使用する薬品使用書には、すべてLD50が記載されている。 最近抗生物質の細菌に及ぼす作用を調べる時、MIC(最小阻止濃度)が用いられ、測定法としてMIC五〇、MIC九〇が採用されている。同じ概念からの測定法であるが、メダカの薬物作用研究に有効であろう。 実は五五年前、私は日本生理学雑誌(第六巻、第三号、昭和一六年/一九四一年)に、LD50(半数致死量)を発表した。おそらく日本で初めての発表で、当時二七歳であった。戦後、「医学の歩み」(LANCETに比せられる日本の最新医学情報誌)に採用掲載された。 日本の薬学会がいつからLD50を導入したか、某製薬会社の担当者に調べてもらっているがまだ分からない、御存じの方があれば、お教え願いたい。 追記 一九九四年七月にスペースシャトル、コロンビア号で実施された宇宙メダカ実験の記録を、宇宙メダカ実験代表研究者東京大学助教授理学博士井尻憲一氏が一九九五年一〇月に発表された。 井尻助教授は、宇宙メダカ実験について三種類の報告書を作成されている。 一.The First Vertebrate Mating in Space A Fish Story(57pages) 二.「宇宙めだかのすべて」(五七頁)【内容、写真は(一)と同じ。日本文】 三.「宇宙メダカの子どもたち―飼育報告書」(二三〇頁) |
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目高のお家 |
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