韓国ドラマと酒【9】
  「ラブレター」―生き方と酒―
         2006/01/12 看護部長 下司 政代




ヨロブン セヘ ボン マニ パドゥセヨ
 (皆さん  新年の 福を たくさん お受け下さい)

韓国のお盆・正月などのミョンジョン(名節)は旧暦ですので今年は1月29日がソルラル(正月)になり、故郷へ帰る人の大移動です。
ネットでは韓国のレンタルビデオ屋も年で一番繁盛とか。家族や友人、それに一人ぼっちでソルラル休暇をドラマや映画で楽しむ人も多いとの書き込みです。
皆さんのお正月はいかがでございましたか。

私の正月は例年より連続休暇が取れ、映画やドラマ三昧を楽しみにしていましたが年末・年始は大風邪をひき、新年2日の夜勤にひたすら備えました。
食事は1日1回で正真正銘の寝正月、普段は睡眠時間が少ないから何年分も寝たような気分でした。こう書きますと、私を気の毒に思われた方もおられるでしょうね。

しかし、食事1回とはいえお雑煮を食べては寝るのですから、我が愛する連れ合いに「普通はやつれたりするものではないかね。腹が出ているぞ」といわれる始末でした。
「これはいけない、素敵な韓国女優さんに負けては、ヨンジュンシーや、最近お気に入りのチョ・ハンソンにお会いできない」と我に返ったのであります。

運動で身体のラインを美しくと、自転車で鏡川土手にまいりました。韓ドラ・ヒロインのような女性が川風うけて颯爽と「ヒャー、かっこいい」と、イメージ豊かであります。
しかし、赤い欄干の太鼓橋「天神橋」の坂が上りきれない、おまけに南国土佐とはいえ冬の川風は、薄着でしかも病み上がりの私の背中を吹き抜けるのです。
思わず土手沿いの「ユニクロ」に駆け込みトレーナを購入してしまいましたが帰路、知り合いの喫茶店で新年のご挨拶、常連の方ご持参の団子をいただき、悲しいかなボディラインはそのままなのであります。



  < 日韓文化友好交流クラブは衰え知らず >

当院の「日韓文化友好交流クラブ」は会員も増え、衰え知らずであります。
ヨンフルエンザからはじまり、思望韓(しぼうかん)から韓専意症(かんせんいしょう)、そして韓好変(かんこうへん)から韓恋変(かんこいへん)に、この様に韓恋変に進行して行くのが肝硬変と病態像が違うこの病の特徴といえますでしょう。
それからさらに韓性脳症(かんせいのうしょう)に至るメンンバーも多いのであります。

韓流はブームという急性期を過ぎ、病状がそれなりの状態で安定の状態に入ってきているともいえる昨今ですね。
誰か一人の俳優さんというよりは、ドラマ・映画の出来具合や、そして出演している女優さんや・俳優さんの演技によってファンになっていくながれになってきています。
さらにはその背景となる韓国に対してと、思いは膨らむのであります。



   < 韓国映画・土佐路ロケ顛末 >

昨秋の高知ロケのことは、残念な事態でございます。
撮影の間、単なる一ファンの私にも資金難やその他、何かと色々あるらしいといったことが耳に入っておりました。ツアーやその他の催し物でも韓流の名をかたったものへの注意勧告がマスコミでも報道されておりますが、ブームといった状況の時にはそれに乗じようとする輩が出てくるのは世の常といいますか起こりうることです。
今回の高知ロケの誘致に当たってはこういう時だからこそお互いきちんと話し合い、契約を確実にするというのが素人の私でも考えることです。
善意とか信頼とかは裏切られたときの傷の深さはとても深く、大きいものです。であればこそなお、きちんとした対応が必要なのでございます。

一ファンとしましては、多くのボランティアの方々、エキストラ・スタッフの方、俳優さん・女優さんたち、そして何より出来上がった作品を楽しみにしているファンの為と、お互いの信頼関係の為にも、是非作品を完成させていただきたいと思っております。

一方メジャーな話として、ヨンジュンシー主演「太王死四神記」の6万坪に及ぶ済州島猫山峰(チェジュド ミヨンサンボン)観光地の約500億ウオンのセットが話題になっておりますね。
広開土大王(ペ・ヨンジュン)の愛を得ることなく、対立せざるを得ない悲恋の女性に映画にだけ専念してきたあの「オアシス」でベネチア映画祭主演女優賞受賞のムン・ソリさんが出演。その他チェ・ミンスさん、チョン・ジニョンさんなどなかなか豪華な出演人ですね。「ロード・オブ・ザ・リング」の特殊チームとも組むそうですから特撮の方もなかなかの様子です。公開予定の10月が今から楽しみですね。



  < 二つの「ラブレター」 >

さて今回のお話しは「ラブレター」でございます。このドラマにはあの「チャングム」で「ミン・ジョンホ」を演じたチ・ジンヒさんが出演しております。ドラマでは母親似の女の子の父になりましたが、実生活でも男の子のお父さんになりましたね。チ・ジンヒさん、おめでとうございます。私はチ・ジンヒさんの大人としての雰囲気が好きですね。「ジュリエットの男」での孤独な御曹司が魅力的でした。
チ・ジンヒ(池 珍煕)さんは、英語ではJijinheeと表記されています。チ・ジニとなっている場合もありますが、チ・ジンヒさんと表記します。

同じ韓流のオムニバスドラマ「ラブレター」、一話はイ・ビョンホンさんが出演する「ひまわり」から始まるものとは違う「ラブレター」でございますのでお間違いないように。
「ひまわり」にもトラウマが描かれていますがこれはまたの別の機会にふれましょう。今回の「ラブレター」には、あの「スキャンダル」でイ・ソヨン演じるソオクを好きになる隣の御曹司役で映画初出演のチョ・ヒョンジェさんが主人公のアンドレアを演じます。

2000年SBS「カイスト」でデビュー。2004年放送のフジテレビ・MBCテレビによる日韓共同制作ドラマにも出演しました。この日韓共作のドラマは、ウォンビン・深田恭子主演『フレンズ』、チ・ジンヒ・米倉涼子主演『ソナギ』に続く第三作目となります。
チョ・ヒョンジェ演じるのは音楽的才能に恵まれ、一攫千金を狙う青年役、対するヒロイン役には中越典子。メインキャストのチョ・ヒョンジェ、チ・ジンヒさん2人が日韓共同制作ドラマに出演しているのですね。

そして「愛の群像」ではヨンジュンシー演じるジェホ兄妹を育てた伯母として出演していたキム・ヨンエさんが医師で、アンドレアの産みの親、チ・ジンヒさん演じる「チョン・ウジン」の育ての親。「チョン・ウジン」の父親として「愛の群像」ではヒロイン「シニョン」の父親役、「ハーバード・イン・ラブ」ではキム・テヒさん演じるヒロインの父親として出演していたチュ・ヒョンさんが外科医で、医大教授役で出演しています。

ヒロイン「チョ・ウナ」を演じているスエさんは、映画『家族』が評価され、2004年の映画で最高の女優に選ばれています。
このラブレターは2003年韓国MBC制作での全20話でございます。
『この作品はアンドレアという一人の人間を通じて、ひとりの人間が医者になり、また、その後、神父として人間の苦痛に真摯に向き合い、やがては自分だけではなく、他人の人生までもを変えていく姿をリアルに映し出した作品だ。さらに、この作品はアンドレア、ウナ、ウジンの友情と恋愛の三角関係を映し出しながらも、人間の体を治療する医者の姿、そして、人間の心を救おうとする宗教人の姿も同時に映し、さらには、神父の愛という、宗教におけるタブーにも触れることで、彼らの孤独、そして、愛の形を映し出していく。
日本でも爆発的な人気を博している「冬のソナタ」の原案と、「秋の童話」の脚本を手がけた韓国屈指の脚本家オ・スヨンの作品。重厚なテーマを扱いながらも、3人の心情を描きあげ、美しい映像に昇華させたことで、みずみずしい人間ドラマに仕上がっている。』
とネット配信会社の「ドラマ韓」に紹介されております。



  < 「ラブレター」の中の酒 >

この物語は若い主人公達と同じように、親の世代でも同じ様に友情と恋の三角関係が、親友の死を招きそしてその事が、今もなお父親を苦しめ、父親を酒へのめりこませているのです。

まさに親の世代の解決されない思いが次世代へ引き継がれていく「恨」が描かれております。父親は机の引き出しにいつも「ウイスキー」を入れており、事あるごとに飲んでいます。そしてそのために手術ができないという外科医にとって致命的な結果を引き起こします。その息子「ウジン」は、実の母親を捨てた父親を憎み、反抗し、アルコールを乱用し友達と遊びといった生き難い時を過ごしている。そんな中、医学部の大学生としてアンドレア、ウナ、ウジンの3人は出会うのである。

そして「ウジン」は父親がたどった道の轍にはまったように、ヒロイン「ウナ」を愛するようになる。
このドラマで、バチカンにもローマ法王庁付属の大学があることを知りました。教会や寺といったところはその起原より、知識や医療を与えてくれるところと知ってはいますが、今もバチカン大学があることを知って一寸感動しました。

主人公の「アンドレア」は神父になるべく、そして外科医になるべく留学しそこで学び、アンドレアの父親を殺し、産みの母親の夫であり、親友「ウジン」の父親に対する「憎悪」を、そして「ウナ」への愛を、神への愛へと昇華しようとするのです。
しかし優秀な外科医になれても、人に対する思いはそう簡単には変えることがでず苦しむ「アンドレア」。「アンドレア」も苦しみから一時はアルコールに逃げるのです。

一方「ウジン」の父親は自分と同じよう生き方をしようとする息子に、「すべてを握りしめて生きてきた。でもその手をしようとする息子に、「すべてを握りしめて生きてきた。でもその手を離さないと離せなくなっていた。だからお前も離せ。」と話すのです。
私が仕事で出会った人達も、「親父のようにはなりたくない」と思いながらいつの間にか、結局同じ様な酒飲みになったという患者さんが多いのです。

世代間伝播の病とも、家族ぐるみの病とも言われるアルコール依存症が描かれています。
そして2人の男性が愛する「ウナ」は心臓が悪く手術が必要となる、「ウジン」は父親に「手術の方法」を、「アンドレア」は愛する女性の命を助けたいために祭壇に向かい「何かを望みません。ただあなたを愛します。許しをこうているのではなく、ただ愛しているだけ」と神に祈るのです。神を試すのではなく、神に願うのでもなく、無条件の愛こそが必要だということでしょう。
「汝神を試すなかれ」でございます。

20世紀の知の巨人、G・ベイトソン(Gregory Bateson)は、「アルコホリックは素面(しらふ)のときの生き方に無理があるので飲む」と言っていることは以前のシリーズの中でも紹介いたしましたが、この父親と息子そしてこのドラマにはこの言葉がよく似合います。

人生どんなに考えて選択しても後悔はすることはあるのではないかと思うのですが、しかしそれでも、素面(しらふ)のときの生き方に無理が無い様に納得して生きたいものだと思うのでございます。

オムニバスドラマの方の「ラブレター『ミス・ヒップホップ & ミスター・ロック』」の方には私の好きな女優ペ・ドゥナ(ムン・ヨンイ役)が出演しています。
彼女が好きになる大御所ロック歌手にシン・ソンウ。ヨンイを好きなソ・ジソフ(社長の息子)が軽いキャラを演じているのが珍しい。
このドラマでペ・ドゥナ(ムン・ヨンイ役)が、好きな大御所ロック歌手に、「人が飲む理由は2つある、1つはくだを巻くため、2つめは死ぬため。自分の過ちで、自分が死ぬのは自業自得、でも飲酒運転は人を殺すんですよ」
と飲酒運転を止める場面がありましたね。

それでは、 チョシムハセヨ  クロム アンニョン
       (元気でね)    (では、また次回お会いしましょう)