| 韓国ドラマと酒【7】 ― ローズマリーに描かれたアダルトチルドレン ― 2005/9/20 看護部長 下司 政代 ヨロブン コンガンハセヨ(皆さん お元気ですか)。 心はホットですが、もうカウル(秋)ですね。 韓国では、今年は秋夕(チュソク)連休も9月17日〜19日の3日間と短かめでした。 チュソク連休では墓参りや家族行事が終わったあとに、映画に行く人も多いようです。 この期間の映画館街のことを特別に「旧盆映画館街(チュソクグジャンガ)」といい、チュソクに合わせて韓国では映画の封切りもあるそうです。 今年は「四月の雪」「刑事」「大変な結婚2」が三つ巴の戦いだったとネット情報です。 皆様におかれましては、ヨンハ(映画)「四月の雪」と共に「ヨンシー」が来日され、眠れぬ日が続いたことでしょう。私の方は、「メーイル、チンチャパッパヨ(毎日、ほんとに忙しくて)」ヨンシーを扱ったTVニュースのひとつも見ないまま9月14日にBS朝日の「徹子の部屋」に出演したヨンシーにお会いしただけでした。「チンチャ、ノムノムポゴシッポヨ(ほんとものすごく会いたかった)」のにね。徹子さんも言っておりましたが、ヨンシーは品が良いですね。まだ30代の初めだというのに、大人の雰囲気があってシンサダ(紳士だ)でありますね。 私が見られないでおりましたのに、私の愛する連れ合いが何故かTVをチェックしておりまして対抗意識を燃やしました。「ヨンさんが、ハァーッとかため息付くとみんながキャ〜ッとか言ってなんだ」と悔しがります。私は愛する連れ合いに、かくのごとく申したのであります。「ヨンシーは埼玉アリーナに2万5千人のファンが集まってもたった一人のお嫁さんもいなくて淋しいでしょう、あなたは私が愛しているからいいでしょう!」「う〜ん、そうかそれならいい。2500人位はファンが集まってくれるかもしれないなあ」。 どこまでも対抗しようとする連れ合いなのであります。 徹子の部屋では、女性のお話が出た時にガールフレンドとかというよりも信頼できる女性と過ごしたいと結婚願望が強く感じられる内容でした。素適な女性と結婚できたらいいですね。知り合いの方が例の「埼玉アリーナ」に行ってきたので、臨場感あふれるお話を聞いて私もチョッピリ会って来たつもりになっております。 忙しい、忙しいといいながらも映画、ドラマは常に見ている私です。「四月の雪」も早速公開日の9月17日に見て来ました。混んでいるかなと思いましたが意外と混んでいませんでしたね。吹き替え版も同時上映していましたからでしょうか。しかしファンとしては、ヨンシーの生の声をきかないというわけにはまいりません。「スキャンダル」と違って現実のヨンシーと勘違いしそうな役柄となっていますからね。映画の出来は見てそれぞれで感じていただいたらと思います。 当院のB嬢は、「ネガときたら私にはあれしかありません」と、「ヨンシー」のロッテチョコのコマーシャルのセリフを思いだし、夢見る夢子さんになってうっとりとしておられるのであります。 当院の「日韓文化友好交流クラブ」の面々はこの間、「パリ恋」のあの有名な赤ブタの貯金箱をネット宅配で手に入れました。現在私のパソコンのそばには、このブタちゃんとヨンシー、パク・シニャンなどがキム・スンウさんの結婚式に出席した時の記念写真が飾られているのであります。うーんこの豪華絢爛さ、ファンならわかっていただけますよね。私の方は仕事に、お勉強に、韓流ドラマに、映画にと大忙しなのです。 この間見た映画は、「バンジージャンプする」、「美しい夜、残酷な朝」これはちょっと個人的には気持ち悪さをこらえながら見ましたね。でもイ・ビョンホンさん上手いですね。 「マルチュク青春通り」は1978年、「大統領の理髪師」は1960年3月の李承晩不正選挙から1979年10月の朴正熙暗殺の時代の物語です。 「マルチュク青春通り」は1978年、その1978年の日本は3月には池袋の高層ビル「サンシャイン」が完成し、5月には農民の反対運動で遅れに遅れた「成田空港」が開港、8月には「日中友好条約成立」、ピンクレディの「UFO」がレコード大賞という時代です。韓国では「金大中」が2年10ヶ月振りに釈放されています。イランでは親米で石油を民営化したパーレビ国王が国外追放されます。 「大統領の理髪師」は1960年3月の李承晩(イ・スンマン)大統領による不正選挙から1979年10月の朴正熙(パクチョンヒ)大統領の暗殺にいたる朝鮮戦争後の激動の約20年間を背景に設定しています。「マルチュク青春通り」の時代は軍事政権下ですから、クオン・サンウ演じる高校生が通う男子校には軍人がいて何かと口出しをし、手を出すという時代が描かれています。日本人が「ユホッ♪♪」などと歌っていたころに韓国の若者はこの様な青春を送っていたのですね。それでも流行はやってきていたのです。ディスコ、音楽、ブルース・リーが、この映画の主人公達の青春に色濃く影響した事を描いています。 「大統領の理髪師」は説教じみていなくて、声高に訴えるわけでもないのに政治に否応なくからめとられていく庶民の生活・家族愛など、多くを考えさせられる映画です。 この中でも、床屋の弟子ジンギを演じるリュ・スンス(冬ソナのヨングク、「四月の雪」では不倫相手の夫役)がサングラスをかけレコードにあわせて踊っております。 そしてアメリカに憧れ「夢はアメリカ旅行。エルビス・プレスリー、グレース・ケリーやモハメド・アリに会いたい」と床に転がって踊り、「ヴェトナム戦で銃弾バンバン来てもこれで逃げれる。」とツイストを踊る夢想家です。そしてジンギはヴェトナムに行けば、アメリカ人に会えると思っていたのですが、映画のシーンではアメリカ兵たちと同じトラックで移動中にジンギがアメリカ兵に話しかけても、口汚く罵られ無視される姿を描いています。傷心のジンギは負傷して帰還するのですが、普通の人が戦争に巻き込まれていく姿が淡々と描かれているのがこの映画の真骨頂です。1979年10月の朴正熙(パクチョンヒ)大統領暗殺後の2ヶ月後の12月には、全斗煥(チョンドファン)ら国家保安指令官らによる軍事クーデターがあり、日本ではジュディ・オングの「魅せられて」がレコード大賞を受賞しています。 「恋する神父」では、一人の青年(クオン・サンウ)が、神への愛か男性として女性への愛かで苦しむ姿がユーモラスに描かれています。いかにもクリスチャンの多い韓国の映画ですね。 「リンダリンダ」は私の好きな女優さんペ・ドゥナが韓国から留学した高校生ソンの役で出演しています。いかにも彼女らしく演じています。文化祭迄の数日を描いているのですが、私にはとても懐かしい香りのする映画でした。主人公の女学生達が歩く川の土手道など、まるで自分が彼女達といっしょに歩いているかのようなシーン、青春時代にフラッシュバックです。 「彼女を信じないで下さい」は、主人公達を取り巻く家族がいいですね。「藍色夏恋」は台湾映画、これも高校生のお話です。爽やかで何となく過ぎた青春時代が懐かしく思いだされる映画です。 映画好きの私としましては、韓流以外にもチェックを入れますのでさらに忙しいのであります。この間見ましたのが、久しぶりのラッセルー・クロウ主演の「シンデレラマン」。映画とわかっていてもつい力が入って胃が痛くなってくるほどでした。そして「シザーズハンド」以来のファンであるジョニー・ディップ主演の「チャーリとチョコレート工場」。 スコットランド映画「ディア フランキー」は監督、脚本、プロドュサーが全員女性陣によって作られた物語です。1日だけの父親役を依頼される男性に「オペラ座の怪人」の「ファントム」を演じたジェラルド・バトラーが出演しています。静かな語り口で心に染み込んでくる映画です。愛する連れ合いの趣味であります切手が小道具として描かれていますのでそれを話すと飛んで行って見ることでございましょう。 そんな中でも韓流に私は何故魅かれるのか、じっくり分析しなければならない課題が残っているのであります。 ドラマの方は「1%の奇跡」、これには「オオカミの誘惑」「彼女を信じないで下さい」の主演カン・ドウォンさんが出演しています。彼は身長186pと公表されています。本当に170p台の俳優さんが小さく感じる韓国の俳優さん達ですね。 「ラブレター」、これも神(キリスト教)が関係した物語です。これには「チャングムの誓い」にミン・ジョンホ役で出ている、チェ・ジニさんが出演しています。ユン・ソクホ監督の「Invitation―招待―」これにはイ・ヨンエさん(「チャングムの誓い」のチャングム役です)が出演しています。 あの「屋根部屋の猫」以来ファンになった「キム・レオン」の「雪だるま」。そして熱き思いの持ち主B嬢をもしのぐ、熱烈韓流派のB嬢のお友達が録画してくれた「キム・レオン」「キム・テヒ」「イ・ジョンジン」がハーバードのロースクールと医学部を舞台に物語が進む「ハーバード・イン・ラブ」を見ました。私はハーバードの学生になったつもりでのめり込んでおりました。この録画DVDは高知県の西部から高知市へ運び込まれてくるという韓流シンジケートの流通物であります。「キム・レオン」もいいけど「イ・ジョンジン」もなかなか素適です、彼も184pだそうです、183pと公表されているキム・レオンが少し小さく感じます。彼は「マルチュク青春通り」で「クオン・サンウン」「ハン・ガイン」と出演しています。 さらに「悲しい恋歌」これにはあの兵役問題で出演をできなったソン・スンホンの代わりに「ヨン・ジョンフン」が出演しましたね。「ヨン・ジョンフン」の奥さんが「マルチュク青春通り」に出演していた「ハン・ガイン」です。今年の4月結婚したばかりですね。そして「ローズマリー」です。これには「キム・スンウ」が出演しています。ホテリアで総支配人を演じた方だというと、思い出していただけるかと思います。そして「ヨン・ジョンフン」「ペ・ドウナ」、子役には「冬ソナ」でユジンの妹の子供時代を演じた子が娘シネを達者に演じています。 今回はこの「ローズマリー」について少しふれてみます。 2003年10月〜12月、KBSミニシリーズで放送された全18話です。韓国中が泣きましたと紹介されています。 1995年の韓国中がこの放送時間には別名「帰宅時計」と言われ国中がこのドラマを見たという韓国初の社会現象を起こした「砂時計(モレシゲ)」のソン・ジナが脚本を書いています。 「ヨン・ジョンフン」さん(1978年生まれ)は24・5歳の頃でしょうか。「悲しい恋歌」と比べてとても若くてまだ少年の面影を残しております。主演するキム・スンウは34歳くらいでしょうか。この2人も180pと公表されています。画面ではそんなに大きい方とは感じないのですが、そうしますと女優さんたちも大きいという事ですね。 物語は平凡でも幸せな日々を過ごしていた心優しく、穏やかな主婦ジョンヨンを中心に進んでいきます。隣の家の主婦が倒れたのを救いだし、その時枯れかけたローズマリーに気がつき、この小さな植木鉢の世話をします。 隣家の主婦は肺癌で手術を何回か受けていたことがやがて分かります。そのことから義兄が癌で逝ってしまっていることもあり、夫に健康診断を受けさせようとするのです。忙しさを理由に受けそうにない夫のために自分もいっしょに受けます。 しかし心配した夫よりも、自分の胃癌の方が見つかり、しかもかなり進行して手術が必要な状態である事がわかるのです。自分の事より、子供達や残されてしまう夫のことを心配するジョンヨン。それを見守る口やかましく難しそうな義母や、胃癌で夫をなくした後も義母と同居している義姉の優しさが韓国の人の家族愛を時におかしく、とても深く気遣っている様子が描かれていて涙を誘います。病院で知り合った民宿を営んでいる夫婦の優しさも静かに心にしみ入ります。ジョンヨンの夫はゲームソフトを開発する会社を友人とやっており、新しいソフト開発のためにキャラクター公募展で銅賞を取ったギョンス(ペ・ドウナ)を自社にスカウトします。ジュノ(ヨン・ジョンフン)は彼の母親が彼女の母親と友達であったために、母親の死後ジュノの家で育ったギョンスとは幼友達。そしてジュノはギョンスが好きだけれど、彼女は知ってか知らずか彼の思いは届かない。ギョンスは深く妻を愛し、気遣う室長ヨンドを好きになっていくのです。 状態が思わしくなくなってジョンヨンが「タバコも吸わないし、お酒も飲まない。家政婦も雇えないし、一人で頑張ってきたの。贅沢とも無縁で、流行のコートも持ってない。お金がもったいなくて、携帯も持たないくらいよ。私が癌なんておかしいのよ。無農薬野菜には目がない普通の主婦なの。家族には雑穀のご飯を、無農薬の野菜を食べさせたわ。私のどこが悪いの」と先輩でもあり夫の大学の同級生で健診を受けた医師ジソプに迫る言葉は胸が詰まります。そして夫と同じようにジョンヨンを愛しているジソプが「君は悪くない」と、ジョンヨンは「じゃあ、なぜ癌なんかに」、ジソプ「すまない、僕のためだと思って手術しよう」と受け止めてくれるのです。 ジョンヨンが「もう少しだけ時間をくれない、こう見えても私、この家には必要な存在なの。私がいないと、夫と子供たちが困るの。メチャクチャになるわ。時間が欲しいの。私の存在って大きいんだから」と言いはります。 このセリフは幼い家族を持っている母親だったら誰しもが抱く気持ちでしょうね。泣けましたね。日本のドラマや映画で描かれているかどうか知りませんが、病院での患者のミーティング場面も感動しました。このなかで英語の教師をしていたという女性が「今日は神様からのプレゼントと思うの。英語ではPresentには、今日という意味もあるのよ。昨日は、過去。明日は、未来よ。」というのを聞いてハッとさせられました。日々をそんな風に考えた事がなかったなあ、と。今日一日をこんなに適格に、そしてドラマのセリフで言わせるなんて憎いですね。ほんと毎日目が覚めるということは、神様から今日を、今を、今日在ることをプレゼントされているんですね。 妻を想う夫、夫を想う妻、子どもを想う家族は、アルコール依存症の父親(冬ソナでも現場の職人キムを演じた俳優がここでもはまり役で熱演)のために母親とともに苦しみ、そして母親の病気の治療に貯めたお金をも、飲み代に使いそのために母親は亡くなってしまい、父親にはバスターミナルで捨てられたと思って成長したギョンスは自分が経験できなかった家族の姿を見るのです。ギョンスはバスターミナルの思い出がトラウマとなって方向音痴で、知らない所へ行くと吐き気がしてしまうのです。ギョンスは人と関係を持つのも不器用だというより、もてないのですね。そのギョンスがこの室長家族の関係の要になっていくのは、人の愛を信じられるようになっていくからですね。 15話でギョンスの父親がジュノに「情けないな。好きなら、さっさと連れて行けよ。俺がこの世から去ってやるよ。それでもだめか」、 ジュノは「男が要らないみたい。男は親父さんみたいに、怖い存在だと思ってます。親父さんに似ていない男はたった一人だけ、奥さんの事を、とことん愛している男」、最初の頃にも、ジュノは「だからギョンスは女になることが怖いんだ」というようなことを言っています。 物語の終わりのほうでギョンスの父親が交通事故でなくなり、自分が家に入れなかったからだと苦しむギョンス。自分の状態も芳しくないジョンヨンが「お葬式は、残された人のためなのよ。みんなが集まって、悲しみを分け合う場なの。行きましょう。」と子供たちに言って聞かせる場面も切ないですね。 父が死んでしまったのは自分のせいだと責めるギョンスに、 ジョンヨン「人を愛するって、本当に難しいわね」 ギョンス「お姉さんも」 ジョンヨン「ええ。一番、難しい。しかるタイミングとか、目をつむってやるタイミング。何が正しい愛し方か、いつも悩むの。お父様もきっと、娘をどう愛せばいいか、わからなかったんだと思う。お父様は、恨んだりしてないわ。先立つ者、天国にいる人には、二つの記憶しかない。愛した記憶と、もっと愛せなかった事への後悔。だから、私は、後悔の方が多かったらどうしようって、怖いの」 母親の様でも、姉の様でもあるジョンヨンと心が通じるとてもいい場面です。 父の好きだった焼酎を初めて口にするギョンス、見守るジュノ。 ギョンス「この頃、いろいろと考えさせられる事が多くて、少し成長したの」 ジュノ「室長と知り合って」 ギョンス「うん。・・・ジュノ」 ジュノ「なんだ」 ギョンス「どこにも行くな。そこにいて。私が転んだりつまずいて、傷ついて帰ってきたら、あんたに迎えて欲しい。結婚して、お互いを束縛するだけが、愛じゃないと思う。いろんな愛し方があっていいと思う。人それぞれの愛し方がある」 ジュノ「そうしよう。ここにいるよ。どこかへ行く時は、携帯を教えるから、連絡しろ」と会話が交わされ、最後の方でジュノが「俺もお前だけだ。他にはいない。それって恋愛よりすごいことだぞ」 ギョンス「だよね」 ジュノ「ああ」 ギョンス「すごく嬉しい。お礼でも言おうか」 ジュノ「いいよ、分かってるから」。 ギョンスが自分の気持ちを伝え、感情も出せるようになっています。そしてジュノが「お前だけだ」と無条件にどんなギョンスであっても受け入れていれてくれることは、これからもギョンスが一人ぼっちでなく、愛されていること、そしてその愛を支えに生きていけることを物語っているのです。愛の大切さを伝えてくれます。脚本のソ・ジナさんがアルコールの問題をかかえた家族をとてもよく描いています。立派なカウンセラーになれそうです。 一方ジョンヨンは、愛する夫の腕のなかで静かに、穏やかに逝きます。 タイトルの「ローズマリー」の花言葉は皆様ご存知の方も多いと思いますが、「変わらぬ愛情と思い出」「思い出」「静かな力強さ」「長い友情」「強い結束」「追憶」などです。 ジュノを演じる、「ヨン・ジョンフンさん」は、ただ今「Sweet Dream」の撮影で高知に滞在中なのです。撮影終了後11月には入隊するそうで奥様の「ハン・ガインさん」と共に撮影期間を過ごされているということを聞いております。どうぞこの地での撮影が無事に終了し、よい映画が出来上がる事と、無事兵役を終えられるよう祈っております。 嫌がる私の娘を説き伏せいっしょに行く、10月7日の県内韓流コンサートを楽しみに待っている私であります。 それではヨロブン、チョシムハセヨ(皆様、元気でね)。 |