| 韓国ドラマと酒【6】 〔アスファルトの男〕と酒 2005/7/10 看護部長 下司 政代 ヨロブン、コンガンハセヨ(皆さん、お元気ですか)? 韓国も日本もチャンマチョル(梅雨時)ですね。高知は今までのところ大雨の被害が出ていないのですが、大雨の九州方面は大変です。 朝鮮半島も日本の梅雨も、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧(韓国では北太平洋高気圧という)の気団の境に前線が出来て起こるのは同じです。 しかし梅雨入り時期は日本より遅く、済州島から順に梅雨入りして、梅雨明けは同じくらい、梅雨は韓国にとって重要な水資源だそうです。 韓国の年間降水量は日本の約半分程度で7月だけで年間降水量の30%が降ります。年間降水量の60%が夏に集中して、その大部分が梅雨前線と台風だそうです。これらは四国の水瓶「早明浦ダム」の事情と同じですね。 さて話題を韓流ドラマのヨンハ(映画)に移しましょう。 皆様は、どのようなテレビやヨンハを見て過ごしておられますか。 私は映画ではあの自殺してしまった美しい「イ・ウンジュさん」が出演した最後の作品「スカーレットレター」が印象に残ります。本当に美しくて演技もまだまだ楽しみでしたのに残念です。その他「オオカミの誘惑」「マイブラザー」「甘い人生」最近では「マラソン」などを見ました。 「マラソン」には飲酒運転の罰としてやらされる社会奉仕に、主人公のいる学校に「甘い人生」での冷酷な殺し屋を演じたイ・ギヨンが元マラソン選手のコーチ役で出演していました。 刑として奉仕を取り入れたのは、韓国はアメリカに近い法律なのでしょうか、ただ残念なのは奉仕だけで酒についての学習のプログラムを受けるというのが、有るのか無いのか、どうも無いのかなという描き方でしたね。コーチしながらビールを飲んでいる姿が描かれていましたし、おまけに主人公のチョ・スンウ演じる自閉症の19歳の子にビールを勧める場面があるのです。それでも日本の罰則だけというよりはいいです。 ドラマの方では「オールイン」が地上波で放送されておりますね。衛生放送で見ていなかった方は今お楽しみ中でしょうか。 主題歌の「初めて出会った日のように」が、最初[Who]という名で歌っておりましたが「冬ソナ」のサンヒョク役の「パク・ヨンハ」が歌っていることが明かされて話題になっています。ヨンハさん、上手いですね。 私ども下司病院の「冬ソナ・ファンクラブ」を発展的に解消し「日韓文化友好交流クラブ」となった会員の面々は、現在は「ガラスの華」も終わり「悲しき恋歌」と「チャングムの誓い」で何とかしのいでおります。「太陽に向かって」は日本語吹き替えのためハングルの面白さが伝わらず残念です。 「バリでの出来事」は韓国で2004年に放送された時には平均視聴率が32%、最高視聴率39.9%を記録し「バリラバー」なる熱狂的ファンまで生まれたそうです。私が面白いと思ったのはとってもドロドロしたメロドラマなのに、「グラムシの獄中ノート」「グラムシのヘゲモニー理論」などがストレートに主人公である男女の会話に出て来ます。例えば「あなた達のようなブルジョワのヘゲモニーが」なんていうように出てくるのです。日本のメロドラマにはありえない台詞でしょうね。でも人を愛するというのは、階級をも越えた人の気持ちということでしょうか。 最後はショッキングな終わり方でしたが、話し過ぎは例のごとくネタばれになりますのでこれでやめましょう。いずれにしましても、タダでは終わらない韓流ですね。 さて、我が会員諸嬢は早く9月にならないかと、元祖・本舗ヨンシーの「四月の雪」の公開を待ち焦がれているところであります。皆様も話題の前売り券など手に入られて今か今かと、待っておられる事でございましょう。 くだんのB嬢は、「ヨンシーのセリフはすぐに憶えられるちゃうわ、どうしてかしら」と例のアーモンドチョコレートのCM、 【歩きながら編】 「ウリガ ハムケ ゴッゴ イッスミョン イ アーモンドチョコレート ハムケ ウムシゲンダニョ・・・ モゴ ボルレ?」 【CM訳】 僕たちが、こうして歩いていると、 このアーモンドチョコレートの粒たちも同じ速度で動いている・・・ 食べる? 【直訳】 僕たちが一緒に歩けば このアーモンドチョコレートも一緒に動いている・・・ 食べてみる? 【見つめながら編】 「ニガ パラボヌン プンギョンゴァ ネガ パラボヌン プンギョンウン タルゲボイジマン イ アーモンドチョコレッ マスン・・・ モゴ ボルレ?」 【CM訳】 君が見ている景色と、 僕が見ている景色は違うけれど、 このアーモンドチョコレートの味は・・・ 食べる? 【直訳】 君が見ている風景と、 僕が見ている風景は違って見えるけれど、 このアーモンドチョコレートの味は・・・ 食べてみる? と、すらすらと宣われるのでございます。 私も遅れをとってはならじと念仏のごとく諳んじて憶えたのでございます。 しかし、よく考えてみますとこのセリフとても意味深でございます。 なにやら日韓関係のようだと思ってしまうのは考えすぎでしょうか。 【このセリフのリスニングは、私には実はなかなか難しく、当院の韓日文化友好交流クラブの顧問(勝手に就任させていただきました。)相談室のY嬢のリスニング力に助けていただいたのであります。】 ヨンシーは「四月の雪」の後は、ドラマ「太王四神記」に出演が決まっておりますね。 韓国と同時放映というのが、無理ならばせめて「悲しき恋歌」のように1ヵ月後位には日本でも見られたらいいですよね。高句麗広開土大王・談徳の役ということで、どのようなヨンシーか楽しみですね。 監督のキム・ジョンハクは、「ペ・ヨンジュンは柔らかさと同時にカリスマを備えた俳優です。その柔らかさで周りを包みながらも、カリスマを発揮する君主としての徳目を感じる点が今回の作品の談徳役に一番ぴったりであると判断した理由です。一緒に作品をつくっていけるようになったことはとても嬉しく、大きな期待も寄せています。」 と話しておられます。 このドラマは来年の今頃は放映されている予定で、全24話の予定だそうです。 ヒロイン役やその他、戦う相手になる配役も楽しみですね。ピ君なんかが候補に上がったりしていますよ。 只今私のコンピュターの横に飾られている写真は、「悲しき恋歌」のミュージックビデオ撮影中のソ・スンホンさんがランチにケチャップをかけているものです。例の兵役問題で出演できなかったのですが、噂どおりでこのビデオのスンホンはかっこいいよ。彼のあとに引き受ける役者がいなかったというのが肯けるほどワイルドでかっこいいです。 この前までは、キム・スンウさんの結婚式の写真が飾られていたのに、何しろオールスターとはこのことです、ヨンシー、チャドンゴン、あのパク・シニャンさま、テヒョンさんと、机上はスター大集合でございます。 そういえば一大事ですよ。 キム・ジョンハク監督といえば、監督のプロダクションに所属しているヨン・ジョンフン、あの「悲しき恋歌」にスンホンのあとにイ・ゴンウ役を演じている俳優さんです。彼が主人公を演じる「スィートドリーム」を今月下旬に高知県下でクランクインすると新聞報道がありましたね。高知でメインロケとなっていますから、楽しみでございます。 監督のチン・ヒョンテさま、救護班が必要な折には是非ぜひ当院に仰せ下さいませ。B嬢指揮下、すぐさま馳せ参じます。 主人公を演じる「ヨン・ジョンフン」さんも180cmで、エクボの笑顔が可愛い方ですね。 皆様方いつ賛助出演の依頼がまいりましてもよろしい様に、準備怠りなきように美しさに磨きをかけておいて下さいませ。 高知と韓国は昔から縁がありますね。古くは大方町の朝鮮国女、朝鮮戦争をはさんでモッポ(木浦)のオモニ(母)と慕われた田内千鶴子さんなど。そして最近では当院のディケアにも来てくださっている、高知のヨンさまこと「キム・ヨンハ」さんが高知に来ることになったのも土佐山田の女性の活動との出会いがあってのことだそうです。いろいろの面で交流が深まればいいですね。 7月初めに「日本アルコール関連問題学会」に出た後に、ASK(日本アルコール・薬物問題全国市民協会)というNPOの総会に出席しましたが、そのNPOを立ち上げ運営している、小柄な身体に似合わずエネルギッシュで素敵な女性、今成知美さんという方が、 「アルコール問題はアジアでも東アジアでの問題が大きく日本、韓国、そしてこれは関係者では言われていることですがこれからは経済の発展とともに中国が大変になるだろう」ということを言っておられました。 中国は、週刊新潮連載「アジア酒街道を行く」(2005/4/14号)の記事に、『今世界で一番ビールを消費している国と載っている。続く4/28号には「世界最大の規模」があり、「年率5%を超える成長が5年以上確実に続く」とそう予想されているのが、中国のビール市場だ。』とあります。 13億という人口の中国各地から都会へ出稼ぎに出てきた人が出身地の飲酒習慣を都会に持ち込み、都会のスタイルを持ち帰るとどうなっていくのでしょうか。多民族国家の中国では民族、地域によって飲酒文化も違っています。 法政大学の曽士才教授によれば、中国の飲酒は『泥酔するほど酔うことに対して否定的な「酩酊否認型」とそれに対して肯定的な「酩酊是認型」に分けられるそうです。「酩酊否認型」の民族としては、漢族だそうです。漢族は正月や冠婚葬祭などハレの場において、最初から酒を出すことはなく、先ずお茶でもてなすそうである。そして酒を飲んでも人前で酔った姿を見せないように、酒に溺れないように自己規制しているということである。 「孔子」は飲酒のたしなみについて「論語・郷党篇」のなかで、「惟だ酒は量無し、乱に及ばず(飲酒に一定量は無いが、適度であって、身体や精神が乱れる程には達しない)」と説いている。漢族の禁欲的な飲酒スタイルは二千年以上にわたる儒教の伝統といえる。』とあります。 ドラマや映画にみる飲酒場面は、同じ儒教の影響が強いといわれている韓国ですが、どうとらえたらいいのでしょうか。作法としての影響はあっても、ここまでは厳しくないという事でしょうか。半島を通し、直接大陸からと混合文化の日本にやってきた飲酒習慣はさらに甘く寛容になったということでしょうか。 さてお話は、『車に夢を賭けた兄弟の壮大なロマン! イ・ビョンホン+チョン・ウソン主演作!! と謳われた「アスファルトの男」』です。 この物語も韓国語はもちろん、英語あり、ロシア語あり、ちょっと違和感もありますが日本語ありと韓ドラらしいのです。 おなじみのイ・ビョンホンは長男「カン・ドンジュン」。 弟「カン・ドンソク」を演じる「チョン・ウソン」さんは、テレビドラマは余り出ないのでファンの方にとっては、このドラマは貴重な一本です。 「チョン・ウソン」さんは「グリンデステイニ−」、「HERO」(ヒーロー)、「Lovers」(ラバーズ)などの映画、最近ではシャンプーのコマーシャルでお馴染みのアジアンビューテイの代表、中国女優のチャン・ツイと共演をした「Musa-武士」があります。 そして「チャングム」でおなじみの「イ・ヨンエ」が姉役「カン・ドンヒ」で出演しています。 オールインでビョンホンと共演している「ホ・ジノ」が敵対する会社の息子「ハン・ギス」として登場しています。 チョン・ウソンさんは186cmと公表されていますから、177cmと公表されているビョンホンさんと並んで登場するとビョンホンさんが小さく感じます。 「アスファルトの男」は韓国の技術で作ったエンジンの車を走らせるという話です。 2人の兄弟は小さい頃から世界一の自動車を作り乗るのが夢でした。兄がつくった車を弟が運転するという夢があります。 貧しい生活の中で父親は、長男に「大学を出て出世して、弟と姉の面倒を見ろ」と常日頃から言って聞かせます。 姉は貧しさから脱出するために米兵と関係を持ち子どもを身ごもり勘当される。 女の子を産むが認めてもらえずその米兵を頼ってアメリカへ渡るのです。 韓国のドラマ、映画にはよく米軍基地の周辺が描かれています。 日本でも現在沖縄などが出ると基地問題が描かれるでしょ、日本の米軍基地もかなり有って、駐留米軍人は4万人位で、そこで働く日本人は2万人をゆうに超えているはずです。敗戦後を描いた、私の子どもの頃の映画などには、よく描かれていましたが最近の日本映画ではほとんどないのではないでしょうか。 韓国には3万7千人駐留していましたが現在イラク戦争で減少し、2万人の米軍人がいるということです。 今放送されている「悲しき恋歌」にも米軍基地や米軍人とのからみが描かれていますね。 どちらも登場する米軍人は、しっかりと、アルコール依存症なんだという描かれ方です。さらに彼らは、どちらも酒乱タイプとして描かれています。 「アスファルトの男」では、それでもその米兵は病院の治療につながってはいますが、「悲しき恋歌」の方の米兵はまだまだ治療につながりそうにもありません。 なんとか幸せに暮らせるという夢を持って、どちらの女性もアメリカに行くのですが。 彼ら米軍兵士もアメリカでは決して豊かな層ではありません、貧しい地区に住み退役後の仕事もままならない様子で描かれていますね。現在テレビ・ニュースで見ても、イラクに行く兵士なども経済的事情から志願しているという実態があるようです。 「アスファルトの男」の弟も、何でも兄々という父親の態度や、貧しさから酒と喧嘩に明け暮れています。この飲み方は依存というより乱用ということでしょうか。周りや、親に対してどうしようもない人生に腹を立て、悲しみそして酒を飲み暴れる。 そしてついに暴力事件から韓国に居られなくなり姉の居る米国へ逃亡します。そこで幸せに暮らしていると思っていた姉は酒乱の夫の暴力をうけながらその日暮らしをしていたのです。弟は姉のためにアメリカ人の夫の暴力から救い出し、生きるためにストリートファイトで稼ぐ、しかし弟の飲み方は激しいですね。 このタイプの飲み方としては、貧しさからではなく反対に恵まれすぎる「バリでの出来事」の財閥の次男(演じるのは、次代の韓流を担うチョ・インソン)もあげられます。こちらは何不自由ない生活のなかで何をしていいのかわからず、遊びほうけ、酒に逃げるのです。 この物語はスケールが大きいですね。在米韓国社会、そしてそこでアメリカンドリームを達成した韓国人。その人に認められ、援助され、韓国の車を認めさせ市場へという夢を実現するために、兄カン・ドンジュンは必死の努力する。敵対する会社キリョンの息子ハン・ギス(ホ・ジノ)とのやり取りのなかに「日本の車のセールスマンか」という悪罵があり、しっかりと日韓の経済問題も描かれています。 自分たちの車のエンジンの優秀さを認めてもらうために、過酷な砂漠のカーラリーに出場し完走するという考えのドンジュンは、「兄が作り、弟が運転する」夢を実現するためにも乗ってもらおうと弟に依頼する。密かに兄ドンジュンが在米韓国人の成功者に頼み、ストリートファイターから一流のドライバーになったドンソク、しかしドンソクは断わり、あのライバル「キリョン」の車のドライバーをする事を選びます。 この後、兄は何とか成功をおさめ、弟との信頼も回復させます。更なる挑戦として酷寒の冬のシベリア横断を試みます。ライバルの「キリョン」もロシアに販路拡大を狙い挑戦をします。ここでも日本の車会社のスパイが妨害するなどの描かれ方をしていますね。苦難の末このラリーも成功します。この物語もやはり「恨」が背景にあります。 兄ドンジュンが愛する女性ハリョンは、彼女の父が不慮の死で果たせなかった夢を実現しようとするのです。 キリョンの息子ハン・ギスは、非嫡子のためロシアでの失敗の捨て駒として使われるという韓国の血統主義の犠牲者として描かれています。 自社の売る車がラリーから脱落し、ロシア進出に失敗し、アコーディオンの物悲しいメロディーをバックに酒に酔って一人踊るハン・ギスの姿が哀れを催します。 「父の会社で、私の会社だからキリョンに戻る」とハン・ギスを車に乗せて帰るハリョンの姿はとても力強い、女性は強しです。 しかし私には物語の続きはドンジュたちが作った「アクター」が、やがてハリョンによってキリョンで韓国の車として世界市場に登場していくだろうというように思えるのです。 そういえばワールドカップで使用されたヒュンダイ(現代)が2台高知のタクシー会社にあって誰でも乗れるという記事が地元紙の高知新聞にありましたので、私も是非乗ってみようと思っています。 ドンジュンが語ります、「この世で一番美しいもの、それは愛でしょう。不可能をも可能にします。」 そうですね、愛があれば海越え、野を越え、山越え、谷越え、国境を越えどこまでもなのであります。 「愛の無い武術は、ただの暴力だ。」と、私の好きな俳優の一人「ジェットリー」が出演している「ダニー・ザ・ドック」でいっておりました。 そうです、かのハングルク講座の「小倉紀蔵先生」だって、「サラン(愛)は単なるホレタハレタとは違う深くて大きい意味なのです。」といっております。 個人はもとより、民族・人種、国どうしだってサランが大切です。 チャンマ(梅雨)が明けると、暑い暑い夏がやってきますが、今年の夏は「よさこい祭り」だけではありません。韓国映画隊の土佐路ロケが楽しみな夏ですね。 それでは皆様、最後までおつきあい下さり、チョンマル コマスミダ(本当に有難うございました)。 それでは、ト マンナプシダ(またお会いしましょう)。 |