韓国ドラマと酒【4】
2005/2/7 看護部長 下司 政代

ヨロブン、チャリソッソ(皆様、お元気でしたか)
セーヘポンマーニーパドゥセヨ(明けましておめでとうございます) 、これは「新年に福をたくさん受けて下さい」と言う意味だそうです。

メールに
「韓国ではもうすぐ旧正月。今年は2月8日から10日がお休みになります。期間中の韓国はもう帰省のための民族大移動、混乱の坩堝と言っていい状態ですので、ご注文の発送が若干遅れることがあります。あらかじめご了承を・・・」というのがありました。
韓国・中国のお正月はこれからが本番です。

下司病院の「冬ソナ・ファンクラブ」を発展的に解消し「韓日文化友好交流クラブ」となった後、メンバーの面々は去年の末から、「パリの恋人」に熱中しながら今年を迎えました。
2004年夏、韓国で「パリの恋人」は記録的な大ヒット、最高視聴率57.4%、平均視聴率も40%を軽々と越え、数々の社会現象を起こしました。その「パリ恋」もついに終わってしまい。虚脱状態に陥っているのであります。

重いドラマに少々疲れたメンバー達は、現在「面白い」ドラマに魅せられているのです。しかし、さすが「韓ドラ」、転んでもただでは起きません。単に面白いだけではありません、やはり泣かせてくれるのですね。
見ている間も鼻水が出るは、笑うは‥‥と、とても忙しいのであります。韓国物には映画もTVドラマも必要物品として「ティシュ・ペーパー」は、はずせません。

この「面白、悲し系」には「ランラン18歳」「屋根部屋の猫」「サンドゥ学校行こう」「ただ今恋愛中」「いつか楽園で」「ジュリエットの男」等といった作品がありますが、やはり夢があって華があるといいますか、ドラマの様なドラマ「パリの恋人」が現在のところダントツ人気でしょうか。この「パリの恋人」、くれぐれもオードリ・ヘプバーンとフレッド・アステアのあの「パリの恋人」とお間違い無きように。

シニャンシーの「パリ恋」に勝るドラマが登場しないと、当分この虚脱状態から抜け出せないことでありましょう。何しろあの「ヨンシー」がパソコンをしている写真が、私のパソコンの横に飾られパソコンをご一緒していたのですが、現在は「パリ恋」の社長ハン・ギジュ役のあの「パク・シニャン」が、赤いセーターを着てパソコンをしている写真にとって換わられているのであります。

決してオルチャン(いけめん)ではない、むしろ日本的表現で言えば「鬼瓦」みたいな「シニャン」が「エギヤ、カジャ」(ベイビー、行こう)なんて言ったりしたりなんかして笑窪を見せてくれると、これはもうえらい事であります。

「イ・ドンゴン」演じる弟役スヒョクの「僕の中に君がいる」のセリフも話題を呼んだセリフですね。「パク・シニャン」さんは、ロシアに留学し演劇を学んでおり、最近では奥さんと子どもさんもいるからでしょうか、ニューヨークで演技の勉強をして後輩に教えていきたいという話も報道されています。「イ・ドンゴン」の映画「B型の男」も韓国ではヒットしているようです。

「ヨンシー」は自分に似ていると言い張る、我が愛する連れ合いも、「シニャンシー」に対しては、「これは僕に似ているとはいえない」などと侮っているのであります。
にこりともしない彼が、一転笑窪を伴った笑顔になった時の表情の素敵さが分かっていない我が連れ合いなのであります。

とはいえ「ヨンシー」の次回映画「外出」も楽しみであります。2月3日には撮影場所の江原道三陟市にはすでに日本、中国、韓国内のファンたちが集結し撮影を見守ったのです。

ぺ・ヨンジュン、ソン・イェジン、リュ・スンス、イム・サンヒョなど主演俳優たちとホ・ジノ監督、スタッフたちはこの日簡単な祈願儀式を終えた後、午後7時頃にもう一度集まって初撮影を始めました。初の撮影シーンはぺ・ヨンジュンとソン・イェジンが病院で出会うシーンを三陟医療院で撮影したそうです。「リュ・スンス」はあの冬ソナの「ヨングク」役の俳優さんです。彼が映画でヨンジュンの奥さん役の「イム・サンヒョ」と不倫関係ということから話が展開していくようです。

イム・サンヒョさんは韓国のトップモデルあり女優さんでもある方だそうです。大人の魅力がある方です。なかなかに才能ある演技人が豊富な韓国です。病院が舞台という事もありまして、私自身が「看護師」として登場するという作戦も立てて見たのでありますが、連れ合いの「意地の悪い看護部長役だな」の一言に目が覚め、作戦実行前にあえなく撤退となりました。

当院の「韓日文化友好交流クラブ」のメンバーのB嬢と、昨年末には「ヨンシー」ボディーガード作戦なるものも考えたのでありますが、あまたのファミリーが輪番制でやるとすれば順番がいつになるやらわからないではないかということに気がつき、これまた撤退の憂き目に会ったわけであります。B嬢は早く次の情報をよこさないと、この虚脱状態から脱出できないから何とかせよと、情報担当係りの私に要求してくるのでありますがこれがなかなか無いのであります。

1月26日の日経新聞の「春秋」に米国の国際問題専門家ジョセフ・ナイ教授の「ハードパワー」の軍事力や札束で相手をねじふせるより、大衆文化やライフスタイルなどで相手を魅了する「ソフトパワー」を生かす「文化力」「感化力」をあげて、戦後の日本人がアメリカ大統領の「自由」の演説ではなく、ハリウッド映画やテレビ番組やポップ音楽を通して米国社会にひかれたことをあげながら、「冬ソナ」で火がついた韓流ブームのソフトパワーの威力について書いてあります。

さらに「今年は日韓国交正常化の40周年で『日韓友情年』幸先の良いスタートで、最もソフトパワーに頼りすぎてもいけない。」とも書いてあります。

過去に日本が強制した韓国取り込み政策として「内鮮結婚」がありますがこれの象徴的存在として、「満州」と朝鮮国にもう一人の流転の王妃として知られている皇族・梨元宮方子(なしのもとみや・まさこ)さんと朝鮮李王朝最後の皇太子・李垠(イ・ウン)との結婚が知られています。

これにより多くの日本人女性が韓国に行き、現在も約1000人が各地で暮らしているそうです。ある女性は、反日政策をとっていた李承晩(イ・スンマン)大統領の時代には外出もできず、多くの日本人女性は日本人であることを隠しながら暮らしたと語っています。慶州(キョンジュ)にある身寄りのない日本人女性の施設「ナザレ園」には永住帰国を断念している方が多くおられるそうです。多くの日本人アジュマ達が自由に韓国へ行き、韓国の方も多く日本にこられるようになった今、これら在韓の日本女性たちが自由に行き来することができたらどんなにか嬉しい事でしょうか。

人々が幸福になれるように、ソフトとハードの両面からパワーが発揮されたらと思うのです。

昨年は「ソ・スンホン」など芸能人の不正な兵役逃れが話題なりました。今年の11月には「ウオン・ビン」が「ソ・スンホン」と同じ部隊に入隊と報じられております。
その他「ソ・ジソフ」も入隊が報じられています。

「軍隊に入ると男らしくなっていいわよ」などとのんびりした事は決して言えない、理想主義に過ぎないと言われようと軍隊や戦争なんてないのがいいのに決まっている。

しかし世界的に見ますと徴兵制をとっている国は結構多いのですが、皆さんご存知の永世中立国のスイスも徴兵制です。オーストリア、ギリシャ、スウエーデン、デンマーク、ドイツ、フィンランドなどは徴兵制です。ノルウェーやポルトガルは志願制と徴兵制の併用だそうです。日本は憲法上、戦力(軍隊)の保持は許されないのは皆様周知の事実です。

さて本日のドラマは「白夜」です。

物語は見られた方も多いと思いますが、2004年の映画「実尾島(シルミド)」にも関連しております。この「白夜」は、「イ・ビョンホン」をはじめ多くの大物スターや人気者が出演したにもかかわらず「ユン・ソクホ監督」作品の「純粋」に視聴率は負けてしまったそうです。

しかしTVドラマでこれほどのスケールというのは日本ドラマで考えるとありえないかなと思うのです。

登場人物は韓国空軍パイロットからKCIA(大韓民国中央情報局)の秘密諜報部員になるミン・ギョビンに「イ・ビョンホン」。朝鮮民主主義人民共和国情報局特殊工作員クオン・テギョンに「チェ・ミンス」。

あの美しい「シム・ウナ」がこの二人の男性に愛される北朝鮮から亡命し米国に情報を流す科学者の娘アナスターシャを演じている。パリで絵画を学ぶため留学したと昨年報じられているのですが、可愛らしくて美しい彼女が見られないのは淋しいですよね。

チェチェンマフィアのボスの息子に「天国の階段」に出演しているシン・ヒョンジュンが出演しています。ビョンホン演じる「ギョビン」と結婚しクロアチアマイフィアに殺されてしまう女性のおばであり上司を、愛の群像でヨンジュン演じる「ジェホ」のおば「ジンスク」で出演した「キム・ヨンエ」が演じています。

冷静で温かいそして切れ者の情報局のボスは、また違った印象で新鮮です。物語はアメリカとソビエトの冷戦が終わり、ソビエトが崩壊していくあたりを背景にチェンチェンマフィア、敵対するクロアチアマフィア、アフガニスタンの軍閥、イランなどをからめ、アメリカ、韓国、北朝鮮と朝鮮半島の問題が描かれています。

今回の「酒問題」は北朝鮮のコンピュターのエキスパート「イ・ヨンジュン」を演じる「イ・ジョンジェ」と「チン・ヒギョン」演じる金日成の側近の娘で画家「オ・ソンシム」を通してみるアルコール問題です。

「イ・ジョンジェ」さんも笑顔の素敵な俳優さんです。私は今回のドラマで初めてお会いしましたが、ご多分に漏れずすてきな笑顔にすっかり参りました。「チン・ヒギョン」さんも初めてですが、大人のムードがある魅力的な女優さんです。

それにしてもハリウッド映画になれた者としては、ロシア語で出演者が話すのに何となく不思議な感じを受けました。地理的な条件を考えたなら当然といえば当然なのですが。1968年1月下旬に北朝鮮のゲリラ31人が休戦ラインを超えて当時の大統領朴正煕(パク・チョンヒ)暗殺を計画しソウルの大統領府(官邸)「青瓦台(せいかだい:チョワンデ)」にせまり武力衝突を起こしました「青瓦台襲撃未遂事件」からこの物語は始まります。

この当時の日本はというと、2月に在日の金嬉老事件、8月には札幌医大日本初の心臓移植が和田教授によって行われました。10月にはあの日大闘争事件などがあった年で、翌年1969年1月には東大闘争の安田講堂攻防戦があったころです。

ヴェトナムがますます泥沼化という状況の頃で、この物語は青瓦台にせまった朝鮮の特殊部隊の隊長と韓国の警察官の指揮官であった父親同士の銃撃戦の場面から始まります。その残された息子達が、父達が戦ったように、二人の若者も運命に手繰り寄せられるように戦いに巻き込まれていくのです。

映画の「実尾島(シルミド)」は事件から30年あまり隠されてきた実話から取材したもので、朴政権への北ゲリラ襲撃に対する報復として北朝鮮主席宮爆破と金日成主席の暗殺が計画されたものです。31名の人間を集め684部隊を創設し、仁川(インチョン)近くの「実尾島(シルミド)」で訓練を重ねましたが、朝鮮半島情勢が和平へと変化したため計画撤回、部隊の存在は抹殺されようとします。

1971年8月23日、この特殊任務部隊は反乱を起こし、大統領と直談判に「青瓦台」へ向かいますが国軍に遮られて戦闘となり、手榴弾で自爆、生き残り4人も軍法会議で死刑となり、1972年に刑が執行されました。この年、5月15日は沖縄が日本に返還された年です。

「冬ソナ」のサンヒョクの父親役「チョン・ドンファン」がなかなかに強いキャラクターを演じております。ギョンビン(イ・ビョンホン)に戦闘機の購入にからむ不正に対して「歪んだ愛国心のため、軍人(国民を)を犠牲にするな」と言われ、「正義かどうかは立場によって違う。」と言い放っています。

物語ではギョンビン(イ・ビョンホン)も戦闘機の墜落で信頼する上官を失い一時は酒に溺れる場面があります。しかしやる事をみつけて立ち直っていき、危うく酒の海に沈没するところで浮かび上がるのです。

一方、北朝鮮金日成主席側近の娘で類稀な画家としての才能に恵まれてしまったために自由に生きられない「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)は、権力志向の強い実父によって主席への貢物にされるとドラマでは描かれます。女性というだけでも生き難いのに社会システムがさらにからめ手で女性を捕らえるとすればそこから脱出するのはどのくらいのエネルギーが必要なのか想像もできません。貢物とされたその夜、車ごと川に飛び込んだ「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)を助けたのは、彼女にひきつけられ後をつけた「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ)です。

助けられた彼女は酒に溺れていく。多くの女性の飲酒問題の背景にある問題の深刻さがよく描かれている場面ですね。そして助けた「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ) もこの事を隠蔽しようとする「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)の父親によって石油の利権争いが渦巻くイランへ送られてしまうのです。

そこで死ぬだろうという予測のもとに送られたのですが、北朝鮮情報局特殊工作員「クオン・テギョ」(チェ・ミンス)によって助けられるのです。そして崩壊前後のロシアで諜報活動している「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ)は、留学していた「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)に出会います。

学しながらも希望を失った彼女は相変わらずの酒浸り。しかも飲んでいるのはウオッカと思われるのでかなり強いアルコールです。「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ)も淋しいときに飲むことが多いのですがやはりウオッカのようです。

物語の最後の方は北朝鮮を脱出する義姉と甥のためと、そして「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)のために死を選ぶ「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ)です。
 彼の死後脱出した義姉と甥が「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)の展覧会に来ていますが、彼らはもう以前のようなか弱さは無く、希望に満ちているのが救われます。

「イ・ヨンジュン」(イ・ジョンジェ)が、かって砂漠での逃避行で北朝鮮情報局特殊工作員「クオン・テギョ」(チェ・ミンス)に「砂漠が美しいのはどこかに水があるからだ。祖国が美しいのもどこかに愛する人がいるからだ。」と言う場面がありました。

祖国が安全で安心で愛する人がいるということはどんなにすばらしい事か、世界中の国々の平和を強く願うものです。

20世紀の知の巨人の一人G・ベイトソン(Gregory Bateson)は、「アルコホリックは 素面のときの生き方に無理があるので飲む」と言ったそうですが、まさにこのドラマで はそのシンボリックな存在として「チン・ヒギョン」(オ・ソンシム)が描かれていまし たね。物語りの最後は悲しい別れではあったけれど愛してくれた「イ・ヨンジュン」(イ・ ジョンジェ)の思いと、その残された甥や義姉と彼女の才能をいかして生きていける希望があるから酒なしの人生を送る事でしょう。またヒロイン、アナスターシャ(シム・ウナ)も逝ってしまった二人の男性の愛の思いを抱いて強く生きていけそうです。父親の親友であったチェチェンマフイアのボスが生前アナスターシャに「この蘭は朝鮮の蘭だ。お前のように、凛としてまっすぐに立って美しい。」と言うシーンがありましたが現実のシム・ウナさんのようでもあります。

今回はちょっと重い話になってしまいました。同じ職業軍人のお話でもクウオン・サンウンの「太陽に向かって」はもう少し面白いですね。それはまたいつかということにしましょう。平和で有ればこそ素敵な「モムチャン」や「オルチャン」に会えるというものでございます。ヨンシーの映画「外出」を楽しみにしながら、あれこれと今年も忙しい年になりそうであります。

それではイーサン(以上)。 アンニョーン。