| 韓国ドラマと酒【10】 「いつか楽園で」―世代間伝播の病気― 2006/03/20 看護部長 下司 政代 ヨロブン オレガンマニヤ。 チャル チネッソ。 (皆さんお久しぶり。どうしてました。) すっかり春になりました、高知では全国に先駆け桜も開花しましたよ。 この間韓国では、スクリーンクオーター制度縮小問題で俳優、監督、制作会社などの映画関係者や、大学生などが参加して政府に抗議の声を上げ、関連記事や、スター映像が沢山みられます。 このスクリーンクウォーター(国産映画上映枠)制度とは、 『自国映画産業保護を目的に映画館での韓国映画最低上映日数を確保する制度で外国映画の参入を制限。映画振興法は「映画館経営者は大統領が決める日数以上の韓国映画を上映しなければいけない」と、朴正熙大統領当時の1966年に年間3分の1、1985年からは現行の5分の2(146日)へとより規制強化された。』 というものです。 昨年11月、自由貿易協定(FTA)交渉で国産映画上映日縮小要求をしたアメリカの主張を受け入れた政府方針に抗議して、アン・ソンギ氏、パク・チュンフン氏、チャン・ドンゴン氏、チェ・ミンシク氏などが「独りデモ」リレーをしていました。 2月8日には、俳優、監督、制作会社などの映画関係者や、大学生など3000人余りが集まり、光化門から明洞までデモをし、キャンドルをと灯していました。イ・ビョンホン氏や、ソン・ユナさん、チ・ジニ氏、キム・レウォン氏、チャ・テヒョンと、そしてチョン・ドヨンさんが「これは米国との文化戦争」という言葉に表れているような思いが沢山の俳優さんたちの寒さをついての参加となっているのでしょう。 多くの俳優、女優さんたちそれぞれ映画やドラマで忙しいのでしょうに、スケジュール調整をして参加したのでしょうね。多くのスターと共に映画を支える大勢の低賃金労働者も後に続いたと報道されています。 韓国政府は「韓国映画の競争力が高くなり、スクリーンクウォーター維持の実益が少ない」と146日間の上映から73日間に縮小しようとしています。 かつての日本での国産映画衰退にはテレビの発達もありましたし、外国映画に関心が向いたのも事実です。 私の子供時代には資本力の違いなど分かりません。ハリウッド映画の豪華さや、かっこいい俳優・女優さんたちに憧れたものです。 現在の私としては、映画・ドラマ作りの情熱と勢いが奪われることのない韓国作品を見たいと思っております。 この問題は韓国でも賛否両論があるようです。映画「シルミド」の「康 祐碩(カン・ウソク)」監督は、「3〜5年間は維持する必要があるが、韓国映画に自生力が生まれれば私達自ら廃止すべき」とインタビューに答えてます。 私が感じ入っておりますのは、多くの俳優、女優さんたちの一人デモなどを含めた、まるで映画やドラマのような熱き思いが現実の行動となって噴出していることです。 当院日韓文化友好交流クラブにとって忘れてはいけない韓流元祖・本舗のヨンジュンシーは、セコムのCMが話題ですね。そして建設会社・慶南企業の CMの極秘撮影にどこで知ったか日本のファン10人余りが押しかけたのがネットで流されましたがすごい情報キャッチ力です。 世界90カ国で放映を進めている歴史大作ドラマ『太王四神記』が、16日に済州道のオープンセットで行われ、ヒット祈願祭にヨンジュンシーが出席したのをはじめ本格的な撮影に入った映像が流れています。王という役柄のためかヘビ−級な身体になっている印象です。 さて、当院職場では最初のヨンフルエンザウィルスが強力であったためか、ウィルスもより強力に複雑に変性進化して当院日韓文化友好交流クラブの面々はかなりの症状です。 急性期を過ぎて安定していても再燃し、急性憎悪期に陥っても現在のところ、有効ワクチンも治療方法も無いのであります。状態を安定させるためには、韓ドラ・映画の自己免疫療法だけなのです。 最近見たドラマで一番の「面白・胸キュン」は「フルハウス」です。主演のピ君とソン・ヘギョちゃんの可愛らしさにのめり込み、一気に16話を観てしまいました。 そして余韻覚めやらぬ今はドラマのなかの最高の小道具「コムセマリ(クマ3匹)」を歌って踊る特訓中であります。 ♪ コムセマリガ ハン チベ イッソ 〜 ウッス ウッス チャ ランダ ♪ 「いつか楽園で」 今回は2月に結婚を発表した大好きな俳優さんの一人「チャ・テヒョン」を祝して、テヒョンさんが主演している「いつか楽園で」原題は「皇太子の初恋」を取り上げます。 チャ・テヒョン(車 太鉉)は、1976年3月25日生まれですからもうすぐ誕生日です。テヒョンさんもまた今年中に軍に入隊予定ですので、その間お会いできないのが淋しいことです。 そして何よりもビッグニュースは、6月結婚です。お相手はこれまた映画・ドラマのようなお話しで、13年間交際を続けた高校同級生の初恋の人です。その花嫁はチャ・テヒョンの1集タイトル曲「I love you」と2集タイトル曲である「Again to me」と「Love story」の作詞を引き受けただけでなく多数の曲を作詞した実力のある作詞家なんです。 そして彼は挨拶で 「今まで映画やドラマを通じて何回も愛を経験して来ました。しかし13年間共にして来た愛とまた結婚は今まで私が一度も経験することができなかった異なる喜びです。私にとって何より大事な出会いが結婚につながってあまりにもありがたく幸せです。私がずいぶん前から願ったことを叶えることになってとても嬉しい」 と幸せを表現しています。 ドラマや映画で見せるコミカルでひょうひょうとしたテヒョンさんと違ってなんかとてもきりりとして素敵です。 テヒョンさん、センイル、キョロン チュッカへヨ !! ( 誕生日、 結婚 おめでとう ) 「いつか楽園で」・原題「皇太子の初恋」は、韓国MBCで2004年6月23日〜8月26日に放送され、全18話でシナリオ「キム・ウィチャン」「チョン・ジニヨン」、演出「イ・グァニ」です。 この番組は朝鮮日報(2004/07/20)に 【放映前から話題を集めていたKBS『フルハウス』とMBC『皇太子の初恋』(日本タイトル『いつか楽園で!』)の放映率対決は、車太鉉(チャ・テヒョン)と成宥利(ソン・ユリ)主演の『皇太子の初恋』が、ピと宋恵嬌(ソン・ヘギョ)主演の『フルハウス』に勝利したが、視聴率差はわずか2%で今後の熾烈な視聴率合戦を予告している。人気スターを前面に、軽快タッチなドラマという共通点を持った両ドラマの視聴率競争が本格的な開始で、各作品の作家や演出者によるドラマヒットのための頭脳プレーがどう展開されるかにも関心が集まっている。】 と書かれていましたよ。 スカパーBB「ドラマチック韓国」で次のようにも紹介されています。 【この作品は、「ジュリエットの男」以後、『猟奇的な彼女』、『恋愛小説』、『初恋死守決死大会』、『ハッピー・エロ・クリスマス』と、ここ数年映画への出演が続き、ブラウン管復帰は実に3年6ヶ月ぶりとなるチャ・テヒョン。お茶の間のファンは、ドラマ復帰を熱望していただけに大きな期待がかかっています。彼が演じるのは、傲慢で他人を嫌な気持ちにさせるのが特技のリゾート財閥の御曹司チェ・グォニ。チャ・テヒョンならではの、コミカルでひょうひょうとした演技が見られそうで楽しみです。ドラマの舞台となるのはリゾート財閥の御曹司だけに北海道、バリ島、タヒチ・ボラボラなどのリゾート地。Club Medとのタイアップということで、見ているだけで幸せになれるようなステキなリゾートがたくさん登場します。第1話の撮影地、北海道新得町のサホロリゾートでは、グォニとユビンの出会いのシーンが撮影されました。スノーボードをするシーンでは、バツグンの腕前を披露したチャ・テヒョンに対し、初心者のユリちゃんは大苦戦。チャ・テヒョンにだまされて高いスロープに連れて行かれ、ほとんど転がりながら降りてきたとか。放送が始まったら、またロケ地巡りの旅が流行るかも?】 と紹介されています。 北海道生まれ北海道育ちの私としては、雪景色にはただただ無条件にのめり込むのです。あの「冬ソナ」も雪景色でなければ引き込まれ度合いも違ったものになったことでしょう。 そしてドラマを見ていると本当にあちこち行ってみたくなりました。最後の場面のようにタヒチの海で足をバシャバシャなんて憧れますね。 世代間伝播の病気 アルコール依存症 アルコール依存症は、いろいろな呼ばれ方をする病気です。代表格には「否認の病気」があります。今回のドラマは「世代間伝播の病気」と呼ばれるこの病気の姿をよく表わしている「いつか楽園(皇太子の初恋)」をとりあげます。 テヒョン演じる「チェ・ゴニ」はキム・ユビン(ソン・ユリ)と最初の出会では泥酔しユビンの部屋に行って寝込むという酔態をさらします。何をして生きるのかが見出せない、そして父親である会長に認めてもらえない息子は取り巻きに囲まれ、荒れた日を過ごしています。母親違いの優秀な兄チャ・スンヒョン(キム・ナムジン)の登場でさらに荒れるゴニです。 ゴニの父親は仕事の上では人生の成功者のように見えても、このチャ・スンヒョンの母親ミヒと30年前に彼女が身ごもっているのも知らず、愛していたのに結婚できなかった過去がありました。 大企業の経営者ですからストレスとそして孤独な生き方から淋しさを癒してくれる相手として酒は傍らに常に存在しているのです。 息子ゴニのような酔狂をきるような飲み方ではないがウィスキーをよく飲む場面が描かれています。友人の医者にも酒を止められているのに止められないで飲んでいるのです。しかも病状は肝癌のようで余命もありません。 ユビンが好きなゴニ、ユビンが好きなスンヒョンと物語が展開し、会長の病気を知ったミヒは自分のプライドを捨て息子スンヒョンに会長の仕事を手伝うように勧める、そしてスンヒョンとユビンの結婚を認めます。 17話だったかとは思うのですが、家族写真を撮るからと会長に呼ばれたゴニが、家族集合写真のあとで、兄弟2人で撮れといわれユビンへの気持ちを諦められないのにいっしょには撮れないと断わります。 このときゴニが父親に激しく「おれにまた父親と同じ生き方をさせようとするのか、夫の愛を受けられない妻と、俺のような父親の愛を受けられなかった子供がどんなに辛いか知っているか」と言う場面が切なかったですね。 子供の頃のゴニの淋しさ、そして愛の無い結婚生活の孤独のなかでゴニの母親がなくなっていったことがわかります。 チャランポランな生き方をしてきた背景にこんな辛さが隠されていたのですね。でもこのドラマではこのことに気づいたゴニが言葉にして出せたこと、そしてこのことで親から子へ引き継がれて行きそうな問題に少しでも歯止めをかける可能性が生まれたことが救いです。 私は以前にアメリカ研修先の施設で有名な日系医師が「私はアルコール依存症からの回復者です。僕の家には代々受け継がれてきた秘密がありました。それは言ってはならない秘密でした。お祖父さん(世界的に有名な医師)がアルコール依存症だということは言ってはならなかったのです。そのため家はいつも緊張していました。世間から見ると、立派な職業の父、叔父・伯父でしたが皆アルコールの問題がありました。そういった緊張感は子供の頃から分からなくても、不安を感じるものです。それを解消しようとして親達が取ってきた同じ方法をとるようになってしまいました。どこかで気がついた者から断ち切らなければならないのです。気がついたものから始めるのが大切です。」 と言った話を思い出しました。 最終話で会長は手術の甲斐もなく亡くなります。 兄弟2人の共有の形で会社を譲るというチェ会長の遺言を知らされたゴニは、激怒し自分が経営者となると宣言しますが取締役会の強い反撥にあってしまいます。スンヒョンの方は、財産などには興味がないと、自分の持分をゴニに譲り、会社を去ります。 四十九日に、墓参りに行ったゴニは、「お父さんと一度呼びたかった」と墓前で一人泣きくずれているスンヒョンを離れたところから見てしまう。 孤独な子供時代を送ったゴニ、それでも甘えて思う存分抵抗できた父親がいた自分、父親と呼びたくても呼ぶことができないまま大人になったスンヒョン、母親のためにも人に後ろ指を刺されまいとして一生懸命努力して生きて来た淋しい異母兄の姿を思い、スンヒョンへの気持ちが少し解けてゆくのです。 これから先、ゴニもスンヒョンもお酒を相手に淋しさを埋める必要のない生き方をしていけることでしょう。 クロム ト バヨ(じゃ またね)、チョシムハセヨ(元気でね) |